河鍋暁斎

模写を学ぶ中で、河鍋暁斎の作品に出逢いました。

『幼少の頃、見つけた生首を写生のために持ち帰り隠し持つが、結局両親に見つかった。元の場所に戻す前にこっそりと写生をした』などのエピソードがある作家です。ただ描く対象として観察したかった、という画家としての純粋な気持ちや姿勢に、とても惹かれました。

『髑髏と蜥蜴』『地獄太夫と一休』が特に好きで、この2作品の模写を通して感性が養われたように思います。

・髑髏と蜥蜴

蜥蜴の細密な描写に魅了されました。蜥蜴の鱗が、流れるような体のラインに沿って一枚一枚丁寧に描かれており、蜥蜴がチョロチョロと這いまわる生々しさを感じます。

・地獄太夫と一休

色彩感覚のセンスに一目惚れしました。この作品は、赤・青・緑・黄・金と、あらゆる色を使用していながら綺麗にまとまっています。また、太夫の後ろでは一休と髑髏が踊っており、禍々しさの中にあるコミカルな表現がとても彼らしい作品です。

卒業制作としてこの作品を描きました。制作期間はじっくりと一年をかけて描きあげ、奨励賞に選ばれました。